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旅の七十三:「蔵の町 川越」  ◆写真をクリックすると、
拡大写真でご覧頂けます。
 梅雨のはしりか、うっとうしい日が続きますが、如何お過ごしでしょう?
私の方は、おとなしく静養していたので、脳の血管の異常もほぼ治まり、
だんだん普通の生活に戻りつつあります。


 ここ一月ほど、家でゆっくりしていたので、NHKの連続テレビ小説「つばさ」をなにげなく観たりしていました。その、つばさの舞台として、今、川越が注目を浴びているようなので、今回は『蔵の町 川越』をご紹介したいと思います。


 川越は、江戸時代には、江戸の北の要として重視され、川越藩の城下町
として栄えました。家康が死去し、久能山から日光へ遺骸を運ぶ途中に
喜多院で法要が営まれるなど、幕府との繋がりも強かったようです。
また、現在まで残る蔵造りの町並みは、明治26年(1893)の大火で市街地が
全焼した時の教訓を生かし、焼け残った大沢家の蔵造りを見本にして、
蔵造りの建物が多く建てられたようです。


 それでは川越の代表的な重要文化財の建物を紹介しましょう。
まずは、喜多院。
喜多院は、平安時代の天長7年(830)に慈覚大師円仁が無量寿寺を
創建したのが始まりとされ、元久2年(1205)に兵火で焼失し、
永仁4年(1296)に伏見天皇が尊海僧正に再興させました。
その際、慈恵大師をお祀りし、天台の関東の中心的存在になりました。
その後も、天文6年(1537)に兵火により炎上。慶長4年(1599)に天海僧正
(慈眼大師)が住職となり、徳川家康の信頼を得て、慶長17年(1612)に喜多院と改めています。寛永15年(1638)川越大火で現存する山門以外の建物全てを焼失しましたが、3代将軍家光が江戸城内の紅葉山(皇居)から客殿・書院
などを移築し、多宝塔や鐘楼門、東照宮、日枝神社などの建物を相次いで
再建、復興させました。東照宮と日枝神社は喜多院の境内でしたが、
明治の神仏分離令により、現在はそれぞれ別々の管理となっています。
次に東照宮。仙波東照宮といい、先ほどから触れていますように、元和2年(1616)家康の死去により、遺骸を久能山から日光へ運ぶ途中、喜多院で
法要が営まれたことから、寛永10年(1633)に建立されました。現在の建物は、川越大火で焼失後、寛永17年(1640)に家光が再建したもので、久能山・日光とともに三大東照宮といわれています。構造形式は、拝殿及び幣殿が一棟で、桁行三間、梁間二間、入母屋造、向拝一間の拝殿。その後方に桁行二間、
梁間一間、入母屋造を接続した銅瓦葺きの建物。本殿は唐門、瑞垣に
囲まれた中の、三間社流造、銅瓦葺きの建物で、久能山や日光のような
権現造ではありません。
日枝神社は喜多院の鎮守社として、草創時に天台根本道場の
比叡山延暦寺の鎮守社だった、日枝山王社を勧請したものといわれて
います。また、赤坂の日枝神社は江戸城築城の際、大田道灌がこの川越日枝神社から分祀したとされています。本殿は三間社流造、銅板葺き。
古式な造りや様式・手法などから、室町時代後期頃の建築と考えられて
います。


 次に「つばさ」の舞台となっている、蔵造りの町並み。川越市幸町を中心
とする中央通り沿いの仲町から札の辻までが、川越伝統的建造物群保存
地区に選定されており、蔵造りの町並みを形成しています。地区の北に
位置する中央通り右側に大沢家住宅があります。大沢家は江戸時代の
寛政4年(1792)に建てられた町屋で、店蔵として建てられた、土蔵造、2階建、切妻造、桟瓦葺きの建物です。江戸時代には、大沢家のような蔵造りの
町屋はそれほど多くなく、明治26年の大火後、その復興にあたって、
商人たちはこぞって防火性能の高い、蔵造りを取り入れ、明治40年(1907)頃には、重厚な蔵造りの町屋が建ち並ぶ町並みが形成され、現在まで続いて
います。蔵造りの町屋は、平入・2階建、入母屋または切妻造、桟瓦葺きの
屋根に大きな鬼瓦を載せた黒漆喰塗りの店蔵を通り沿いに構えて、
奥に座敷、中庭、離れ座敷などを配しています。どっしりとした蔵造りの
町並みを散策してると、地区の北西部に菓子屋横丁があります。明治の初めから菓子の製造をし、昭和初期には駄菓子を東京へ製造供給し、
70軒もの業者が軒を連ねていたようです。現在も十数件の店舗が連ね、
下町風の横丁には駄菓子が所狭しに置かれ、懐かしさを醸し出してます。
また、地区の中心部には時の鐘がシンボルとしてそびえ立っています。


 その他にも、現在、保存修理工事中の川越城本丸御殿など見どころは
たくさんあります。
連続テレビ小説「つばさ」をきっかけに、川越を訪ねられる方も多いでしょう。
今回の日記が、その折の参考になれば幸いです。






























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