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旅の九十七:「カトリック高円寺教会/杉並区」
◆写真をクリックすると、拡大写真でご覧頂けます。
今回はカトリック高円寺教会の木造聖堂のご紹介をしたいと
思います。
先月ご紹介した旧朝香宮邸茶室「光華」と同様に、耐震診断による建物現状調査で伺いました。
カトリック高円寺教会は、高円寺駅南口より徒歩10分位の
ところにあります。約50m位東側には環七が通っていますが、近隣には光塩女子学院などがある閑静な住宅街でした。
昭和3年(1928)に、東京で10番目の教会として創立、木造の
仮聖堂が建てられたのが始まりとされ、昭和6年(1931)に地下聖堂(現在のマイエホール)が完成しました。幼稚園や診療所、保育学校なども開設されたようですが、太平洋戦争の
東京大空襲により地下聖堂以外の建物はすべて焼失して
しまいました。
 その後、昭和24年(1949)に、残った地下聖堂の上部に現在の木造聖堂が建てられました。聖堂は木造平屋建で、一部、
中2階があり、梁間14.5m、桁行21mの礼拝堂、祭壇、
エントランスホール、告解室などにより構成されており、
床面積は400u以上あります。
聖堂は、木造モルタル塗、切妻造り洋瓦葺きで、
鉄筋コンクリートスラブに、土台はアンカーボルト、独立柱は
羽子板ボルトで緊結し、軸組には筋違を入れ、仕口など
要所にも金物やボルトによる補強がなされていました。
礼拝堂の広い空間の屋根を支えるための梁はキングポストと言うトラス組が架けられ、屋根は土居葺き下地に茶色の洋瓦が葺かれています。また、祭壇の天井はドーム型で、下地は木をドーム状に組み、木摺漆喰を塗って仕上げてありました。
内装は、床がコンクリートスラブにカーペット敷き込み。
壁は腰壁に欅板練付けの合板張りで、上部は木摺漆喰塗り。天井は大鋸屑(オガクズ)を板状に固めたようなボード張りで、現在のMDFボードと同様なものでした。

私が調査した建物現状調査報告書を参考に耐震診断が
行われ、その後、耐震補強設計へと進められて行きます。
今回も山辺構造設計さんのお手伝いだったので、
診断については解りませんが、診断結果も良くて、
聖堂が今後も後世に残されて行ければ良いんだけどな、と
思います。












































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