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旅の百二十八: 「小石川後楽園 九八屋 組立・完成/東京都文京区」 |
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昨年末から小石川後楽園の九八屋・丸屋修復工事が大詰めとなり、そこへ来て、あの大雪による雪害処理、さらに年度末の各種団体の総会準備などが重なった目まぐるしい忙しさで、 旅日記の更新が遅れてしまいました。 今回は昨年ご紹介した小石川後楽園の修復工事が完了 しましたので報告したいと思います。 まずは、九八屋。前回のご報告は建物の解体工事でしたが、今回は組立工事です。まず、解体した部材の傷んでいる 部分の埋め木などを行う繕い(つくろい)を先行しました。 入手が懸案だった栗皮付丸太材を栃木でなんとか確保 出来ましたので、柱・桁などの栗皮付丸太取替え部材の 組立加工を順次行いました。これらの部材加工が整った ところで建て方に入ったのですが、皮付丸太の柱を自然石の 礎石にひかり付ける(ぴったり取り付ける加工のこと)のは 非常に大変なことで、建て方には思いのほか時間が掛かり ました。軸組の組立に続いて小屋組の組立を行い、 今回は軒先が下がるのを防ぐため桔木(はねぎ)を杉丸太の 新規補足材として入れました。また、叉首(さす)も杉丸太を 入れ、屋中丸太や屋中竹の受材として新規補足し、小屋組の補強を行いました。 次に屋根工事の茅葺き。茅葺きの下地に使う竹は真竹で、 まず、屋中竹を叉首や隅木に荒縄で括り付け、力垂木丸太を取付けました。力垂木丸太の間に垂木竹を配し、 葭簀(よしず)を取付けます。その上に茅を載せて葺いて 行きます。茅を固定する押し鉾竹(おしぼこたけ)を水平方向に入れ、押し鉾竹と垂木竹を縄で縛りつけながら棟まで 葺き上げると棟に竹簀(たけず)を巻き付け、今度は刈込み です。茅の厚さは約30cm程度で上から刈り込んで行き、 軒廻りの軒付まできちんと刈り揃えます。この作業は熟練の 茅葺き職人さんの勘に頼るしかなく、左右の形や軒付の 角度などが歪(いびつ)だと直すことが出来ませんので、 「綺麗に刈ってくれ!」と祈る想いでしたが、結果、見事に 刈り上がり、「さすが熟練の職人技!」と感心させられました。 屋根が終わると、今度は壁の左官工事です。木摺下地に 漆喰を塗り込み、下げ緒を取付けて、十分乾燥させてから砂漆喰の中塗り、鼠漆喰の上塗りと仕上げて行きます。 そして、最後にベンチやテーブルの組立を行い、外部の土間の三和土叩きを行い工事は完了いたしました。 次回、丸屋の報告をいたします。お楽しみに! |
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