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旅の百三十六:「エルメス祇園店オープン!」 | ◆写真をクリックすると、 拡大写真でご覧頂けます。 |
昨年、「京都祇園のお茶屋を改修して店舗にしたいので、現況建物の実測 調査をお願いしたい」とのご相談を頂き、現地調査にお伺いしてから一年余り。 この秋にオープンすると聞いていましたが、先日の11月3日にエルメス祇園店としてオープンいたしました。 このお茶屋は、昭和40年頃に建てられた木造2階建で、調査当時は使われて いませんでしたが、最後に使われていた頃は、全てを住宅としていたようです。 奥に長く伸びた敷地の、いわゆる京町屋のうなぎの寝床的な細長い建物で、 間口は、他のお茶屋に比べると比較的に広く、入口の門を潜ると、松が 植えられた庭に面して玄関があり、元は高級なお茶屋だったのではないかと 想像できました。 建物は2棟で構成され、手前建物の1階は玄関に台所や居間が取り付き、 2階は床の間付四畳半と三畳間。奥の建物の1階は床の間付きの八畳間と 四畳の納戸で、2階は四畳半と三畳間と八畳間の3室です。それぞれの建物を繋ぐ廊下と、それに面して洗面所と浴室がありましたが、恐らく中庭を、住宅として使うために増築したものと考えられ、それを挟んでそれぞれに階段が あります。 現況はこのような間取りですが、調査の中から窺えるお茶屋は、手間建物の 1階は現在と同様に玄関・台所・居間で構成された生活スペース。奥の建物との間には中庭があり、その中庭を囲むように渡り廊下と階段があって、廊下の 奥には奥座敷。この奥座敷は二方向が庭に面しており、恐らく最上級の部屋 だったものと思います。手間の階段を上がると、通りに面した四畳半床の間付の部屋と取付きの三畳間が、客間だと思います。通りに面した窓には、祗園の 代名詞とも言えるすだれが掛かり、部屋の中からは通りの様子が見えますが、 通りからは見えないようになっています。最後に奥の建物の2階は八畳間と 取付きの三畳間が客間で、その手間にある四畳半とその脇の階段から上った 小屋裏部屋がここの住人の寝所だったのではないかと考えられます。 今回の調査では、建物の変遷とか痕跡などの復原に関する調査は行いません でした。販売店に改修するための実測調査で、現況の構造架構方法や破損・ 老朽状況と現況図面の作成でした。 調査報告書と現況図面を提出してからは、架構や木材種などについて意見を 求められる程度で、改修についてはあまり係わってはいませんが、改修後が 販売店と言うことから、1階の床はほとんど撤去し、中庭だった部分も建物を 繋げて売り場面積の確保と耐震補強を図ったようです。花見小路通りから 見える外観はあまり変わっていないようですが、内部はかなり改造したよう です。 祗園という地域から、景観を維持しながら、現在のニーズに合わせて 行かなければならないので、保存と言う観点からはちょっと残念ですが、 いたしかたないものと思います。 京都祗園においでの際は、ちょっとのぞいていただけたら幸いです。 オープンの写真はエルメス祇園店のホームページから引用させて頂きました http://www.maisonhermes.jp/feature/349857/ |
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