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旅の百三十五:「カトリック高円寺教会のその後」 | ◆写真をクリックすると、 拡大写真でご覧頂けます。 |
先日、以前「旅の九十七」でご紹介したカトリック高円寺教会の近くに所用が ありましたので、ついでにチョット足を延ばして訪ねてみました。 実は、カトリック高円寺教会の耐震補強工事は既に完了しましたよ!と、 耐震補強の構造設計をされた、山辺先生からお聞きしていたのです。 そこでどんな風になったのかなと興味がありましたので・・・ 建物や周辺の雰囲気はほとんど変わりありませんでした。教会の外壁の色が少し黄色味がかったかな?屋根の素材も変えているはずなんですが、 観た目には全く違和感はありませんでした。内部はかなり綺麗になって いました。床は張り替えられ、壁や天井は塗り替えられていましたので 真新しさを感じました。まあ、改修をしたので当然と言えば当然なのですが! それでは、「旅の九十七」の後の流れなどをご説明いたします。 平成23年に私たちをはじめとする調査隊により建物の現況調査を行い、 耐震の精密診断が実施されました。その調査報告書を基に、翌、平成24年に耐震補強計画及び補強設計を行い、耐震改修実施設計がまとめられ、 公募による入札を経て施工者が確定。平成25年に耐震改修工事が 実施され、平成26年竣工いたしました。 耐震精密診断では、X・Y両方向とも水平変形は耐力壁の割線剛性を超えており、耐力壁・腰壁・垂壁が許容値を超えていました。柱も応力が許容値を 超えるものが半数以上存在し、床面・屋根面の水平剛性も不足していたよう です。 この様な結果から以下の補強方法が計画されました。 1.屋根材を現状の瓦材から金属板に変更し建物の軽量化を図る 2.耐力壁の仕様を構造用合板などに変更し、耐震性能を高める 3.柱頭・柱脚、筋違端部に接合金物を設置する 4.床面、屋根面、小屋面を構造用合板・ステンレスブレースで補強し 水平剛性を高める 5.腰壁・垂壁の横架材端部を接合金物で補強する 実際の工事では、屋根は瓦を撤去し、現況と同じような形・色の瓦型金属板を使用。外壁はモルタル塗壁を撤去し、構造用合板を下地に張り、ラス板・ フェルト・ラスモルタル塗り、吹付塗装。外壁を撤去した際に、柱頭・柱脚、 筋違・横架材端部に接合金物を設置。内部は床を撤去し、構造用合板を 張り塩ビシート貼り。壁は腰板壁・漆喰壁共に、現状に上塗りを行なったよう です。天井も壁と同様で、現状に上塗りを行ない、小屋梁にはステンレス ブレースを設置し水平剛性を補強したようでした。 この様な耐震補強により精密診断時のIw(X方向0.34)(Y方向0.38)が 耐震改修後にはIw(X方向1.23)(Y方向1.23)となり、耐震上安全な建物と なりました。 この耐震改修工事に合わせて、窓のステンドグラスの修復工事も行われた ようです。スチールサッシに嵌め込まれたステンドグラスを取外し、修復して から取り付けたようですが、まだ、一部は仮の透明ガラスが取り付けられて いました。 カトリック高円寺教会は耐震改修工事により耐震的にも安全になり、そして 傷んだ部分も修繕などにより解消されました。信者の皆様も安心して いつまでも信仰の対象として末永くご利用して頂ければ良いなと思います。 追伸:旅の八十二でご紹介した「中島新邸 太田市」がこのほど国指定重要 文化財「旧中島家住宅」として指定されました。私たちが調査した建物が、 このように重要文化財に指定されることを大変うれしく思います。 今後、修復が進むことを期待しています。詳細については、またお知らせ したいと思いますが、皆様も近くにお越しの際はお訪ねください。 |
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