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旅の百三十三: 「長崎居留地二十五番館 愛知県犬山市明治村」 |
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ご無沙汰しています。 愛知県犬山市にある明治村をご存知でしょうか?明治時代の建築物の博物館として昭和40年にオープンしたテーマパークです。園内には約70棟の建築物や蒸気機関車・電気鉄道 などが展示されています。その中には、フランク・ロイド・ ライトが設計した帝国ホテル中央玄関などもあり、明治時代の街並みが復元されているため、ロケに使われることも多く、 最近では連続テレビ小説の「ごちそうさん」と「花子とアン」の 中で撮影されていました。 しかし、それらの建物もオープンから半世紀を経過し、さすがに傷みが目立って来ているようです。先だって、その中の長崎 居留地二十五番館の修理に伴い、建物の調査を行いました ので、今回はその内容をご紹介したいと思います。 長崎居留地二十五番館は、明治22年(1889)長崎南山手にスコットランド人コルダ―の居宅として建てられました。明治43年(1910)に洋室と和室で構成された別館が増築されて いますが、こちらも外観は本館に合わせて洋風に統一されて います。これらはその後、昭和41年(1966)に解体され、 明治村に移築し、現在に至っています。 本館は、木造平屋建、寄棟造、桟瓦葺。外壁は下見板張りで、軒蛇腹を設け、正面と両側面の三方に一段低くした下屋 形式の屋根を架けたベランダを巡らした、コロニアル様式の 建物です。内部には洋室が3室あり、それぞれに暖炉が 設けられています。内装は全て、床はリノリウム貼り、壁は 木摺漆喰、天井は紙貼りです。小屋組は和小屋で、補強に 筋違を入れてありましたが、恐らく移築時に取付けたものと 考えられます。 別館は、木造平屋建、寄棟造、桟瓦葺。外壁は下見板張り ですが、軒蛇腹はありません。内部は中央に洋室、北側に 和室2室を配しています。洋室には暖炉があり、内装は本館と同様に床リノリウム、漆喰壁、紙貼り天井です。また、部屋の 三方には廊下を設け、特に南側の廊下は幅も広く サンルームのような使い方をしていたものと考えられます。 和室の奥座敷には床構えと縁側を設け、手前座敷には押入を備えており、床は畳敷き、壁は土壁、天井は杉板竿縁天井。 小屋組はキングポストトラス。明治22年に建てられた本館は 和小屋だったものが、約20年後の別館ではトラスで組まれていますので、西洋の建築技術などが急速に普及したことが 窺えます。 創建から126年。移築されてからも50年を経て、雨漏りや 軒蛇腹の剥落など、随所に傷みが目立って来ましたので、 今後、修理工事を行う予定です。長崎居留地二十五番館は しばらくの間、観る事は出来ませんが、明治村には素晴らしい建物がたくさん保存されていますので、機会がありましたら 訪ねて頂ければ幸いです。 |
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