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旅の九十一:「甲斐国分寺 落慶法要」 ◆写真をクリックすると、
拡大写真でご覧頂けます。
11月13日、甲斐国分寺で落慶法要が開催されました。
これは、国の史跡に指定されている甲斐国分寺跡の史跡保存整備事業が
本格化し、史跡の上に建つ国分寺の境内すべてを移すという、甲斐国分寺
移転整備事業が完了したことを祝う記念式典です。


平成12年に建物の移築保存修理工事の調査で訪れてから早いものでもう
10年。境内の庭園整備なども完了し、見事に蘇った伽藍を関係者の皆様方と共にお祝いすることができて、大変感慨深いです。ただ、残念なのは、
この事業に大きく貢献されてこられた移転建設委員会の委員長さん、
副委員長さんなどが、お亡くなりになられたことです。遠い空の上で見て
いただいているとは思いますが、同席できなかったのが残念でなりません。


私がこの10年間に甲斐国分寺移転整備事業に携わった詳細については、
このホームページの建築旅日記「旅の十七」と「旅の七十」をご覧いただく
ことにして、今回は落慶法要の様子をご紹介したいと思います。


11月13日は、朝からよく晴れた秋晴れの日でした。朝8時頃より近隣の
子供さん達が華やかな衣装で集まり始め、稚児行列が9時に出発しました。
地域を30分ほど練り歩き、鐘楼門前に到着した頃には、落慶法要に参列する人たちも段々多くなり、檀信徒の方々や関係者など、300人以上が
参加されたようです。


その後、私たち工事関係者などは本堂に入り、所定の席に着座しました。
しばらくすると、檀家の奥様方が御詠歌を詠い始めました。御詠歌が
終わると、法要を知らせる太鼓が打ち鳴らされ、続いて始まりの合図の鐘を
撞き、30〜40名の和尚さんが参集し、いよいよ落慶法要の開始です。まず、導師が入場され、荘厳な雰囲気の中で大般若経転読の読経などが行われ
ました。引き続き式典に移り、来賓の祝辞、工事関係者や檀信徒功労者の
褒章授与などが行われ、式典もつつがなく終了しました。その後、祝宴を
行い、落慶法要はお開きとなりました。


「10年ひと昔」と言います。現代の10年は短く感じられますが、それでも思い起こせば、いろんなことが頭に浮かび、長い時間の経過を感じます。
その間にはたくさんの方々と出会い、大変お世話になったことを改めて思い
出します。この式典の前にお亡くなりになられた役員の皆様のお顔が心に
よみがえります。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。


この国分寺は江戸時代に造られた建物を、平成の時代に、新たな地で継承
していくものです。また、奈良時代の甲斐国分寺跡は、今後も発掘調査などが進められ、整備されていくことと思います。この付近は桃の産地でもあり桃畑に囲まれています。皆さまも、桃の花が咲くころ訪ねていただけたら幸いです。






















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